作業部屋、むろ(漆風呂)

4月に作業部屋を整えました。住宅事情により、これまでで一番狭い作業部屋です。

漆の作業部屋 漆むろ 漆室

右側が漆風呂

約20年前、香川県高松市での研修(約7年間)の後、広島市の実家の一室を作業部屋に改装しました。その時に漆風呂も含めて、机なども全て自作したので、ある程度バラシして、引っ越す度にこの作業部屋用具一式を携えていました。今の家は賃貸で、今後も引っ越しはあるので、最低限の設備です。


漆は温度が25~30℃、湿度が70%程度が最も乾きやすいとされています。 その為、梅雨以外の時期は、「漆風呂」または「むろ」と呼ばれる漆用の乾燥室を使います。
(漆が乾くメカニズムについてはこちらに記述があります。)
自作の漆むろ 漆風呂

上が水分なしの「からむろ」で、下が水分ありの「湿しむろ(しめしむろ)」または「湿むろ(しめむろ)」です。

湿むろは、内部の全面(扉以外)に杉板を貼って、そこに霧吹きで水分を与えます。下のステンレストレイに水を張ったり、濡れたタオルを広げて上段に置く事もあります。
からむろは、ゆっくり乾かす時に使います。塗った後、数時間はからむろで表面を乾かし、その後、湿むろで内部までしっかりと乾かします。

むろは風呂が訛ったものと言われていますが、最近は室(むろ)の字も見受けられます。むろに漢字を当てはめたのかもしれません。漆室(うるしむろ)と書いてあると、違う物のように感じてしまいます。
先ほど、「漆芸の伝統技法(1986年出版)」で確認してみました。著者の佐々木英氏は漆風呂または風呂と表記しています。少し気になりました。


2024.07.01