



漆かぶれRash Dermatitis
漆の主成分であるウルシオールによる遅延性アレルギー性接触性皮膚炎です。ウルシ、ツタウルシなどが分泌する油が皮膚に付着すると、多くの人(約85%)に掻痒や水泡を伴う発疹が生じます。
また、何度も経験すると皮膚に抵抗性(免疫のようなもの)がついてほとんど症状がでなくなります。
症状
「漆器業における”漆かぶれ”の調査研究」
症状
かゆい、赤い腫れ、熱感、水ぶくれなど
部位
手や腕、皮膚の弱い所、顔や首、全身など
程度
軽度(紅斑)43.6%、中等度(紅斑・浮腫)36.2%、重度(紅斑・浮腫・水泡)20.2%
発症までの期間
1ヶ月以内が最も多く35.5%、最短では1日以内が5.2%、7日以内までの総数は61.1%で、半数以上が7日以内にかぶれた
治るまでの期間
2~3日は7.3%、2週間以内は57.7%、1ヶ月以上が42.%
漆はかぶれやすく、治りにくい事が推測されます。
反復接触が繰り返されると、慢性湿疹のようになります。また、不適当な治療が行われると、散布疹が生じます。
かゆい、赤い腫れ、熱感、水ぶくれなど
部位
手や腕、皮膚の弱い所、顔や首、全身など
程度
軽度(紅斑)43.6%、中等度(紅斑・浮腫)36.2%、重度(紅斑・浮腫・水泡)20.2%
発症までの期間
1ヶ月以内が最も多く35.5%、最短では1日以内が5.2%、7日以内までの総数は61.1%で、半数以上が7日以内にかぶれた
治るまでの期間
2~3日は7.3%、2週間以内は57.7%、1ヶ月以上が42.%
漆はかぶれやすく、治りにくい事が推測されます。
反復接触が繰り返されると、慢性湿疹のようになります。また、不適当な治療が行われると、散布疹が生じます。

13年間、漆を触っていなかったので免疫力がなくなっていました。(2024年6月)
対処法
ウルシに接触したことが確実で、発疹が限局的であれば、ご家庭でも対処できます。
1. | 接触した部位の皮膚を直ちにぬるま湯と石鹸で洗う |
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2. | 接触時に着用していた衣服を全て洗う |
3. | ウルシが付着したと思われるもの(例:園芸道具、ゴルフクラブ、犬のリード、ペットの毛)を全て洗う |
4. | 発疹をかかない |
5. | 水泡を破らない |
6. | コロイドオートミールやベーキングソーダを加えたぬるめの風呂、または低温のシャワーを短時間浴びる |
7. | 掻痒にはカーマインローション、軽度であればヒドロコルチゾンを塗り、冷たい湿布を貼る |
8. | 掻痒の軽減には抗ヒスタミン剤を服用する、局所抗ヒスタミン剤は発疹や掻痒を悪化させる可能性があるので使わない |
ウルシかぶれは通常1~3週間で治りますが、7~10日後も改善がない場合や、感染を疑う場合は専門医を受診します。
呼吸困難、嚥下困難、腫脹、多数の発疹や水泡がある場合は、直ちに救急外来へ行くことが推奨されています。
医学療法
医師による「漆器業における”漆かぶれ”の調査研究」
炎症の激しいときや 不適当な治療が行われると、 全身に撒布疹を生じることがあります (自家感作性湿疹) 。治療は急性期と慢性期に分けられます。
急性期
局所治療
全身治療
・ | 強力なステロイド外用薬を使用するが、 紅斑、腫脹、 灼熱感、 激しいときには冷湿布を併用 |
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・ | 漿液性丘疹、水疱、 びらん面にはチンク油塗布。 痂皮形成がみられる状態になったときは亜鉛華軟膏 |
・ | 顔面治療でステロイド外用薬の長期使用は絶対禁忌 |
・ | 苦痛を速やかに軽減させるためステロイドの短期間服用 |
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・ | 抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、消炎剤の服用 |
・ | グリチルリチン製剤の静脈注射の併用 |
慢性期
反復接触が繰り返され、 皮膚に肥厚即苔癬化が著しいときは、ステロイド外用薬を塗布してサランラップで覆う密閉療法。 また、製品化されている非ハロゲン合成副腎皮質ホルモン密封療法剤の貼布。
掻痒激しいときは、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の服用。ステロイド外用薬 の長期使用では、 真菌症及び2次感染防止に注意を要する。
掻痒激しいときは、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の服用。ステロイド外用薬 の長期使用では、 真菌症及び2次感染防止に注意を要する。
処方 | 所 見 |
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七味排毒湯 | 発赤有り、分泌物少、 隆起するもの |
消風散 | かゆみ強く、分泌物あり、 痂皮形成、 夏季に悪化するもの |
温清飲 | 発赤有り、かゆみ強く、 乾燥性のもの |
白虎加入湯 | 発赤強く、 痛がゆくほてり、口渇あり |
桂枝加黄耆湯 | 濕潤~乾燥性病変 |
白虎加入湯 | 皮膚乾燥し、かゆみの強いもの、冬期に悪化するもの |
「軟膏」 (病変部)
・ | 乾いているもの・・・紫雲膏、 太乙膏 |
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・ | 濕潤しているもの・・・中黄膏 |
参考資料
1. | 山久漆工株式会社 「漆かぶれ」のいろいろな話 Vol.197~200 |
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2. | 金上幸夫、宇野千春、佐藤巳代吉、三浦行一、石沢誠 「漆器業における”漆かぶれ”の調査研究」産業医学振興財団 |
3. | 米国皮膚科学会(AAD) 「ウルシかぶれ対処法を紹介」 2014年 (要ログイン) |
2024.05.02
2024.06.23