その他

 

 

小学校で出張授業

 

 

広島市立落合小学校4年生に漆の出張授業をしてきました。

1時間目はプロジェクターを使って、写真を見ながら漆の話。2時間目は持参した作品、道具を説明して、お椀を一つ塗りました。その後、漆をヘラで触ったり、漆の独特な匂いを嗅いだり、子供達は本物の漆を体験。

10歳前後の子供達に、どんな風に話せば漆に興味を持ってもらえるか悩みながら構成を検討。技法などの詳しい話は無しにして、樹液の話や昔の名品の鑑賞を少しと、スペインでの写真も入れました。漆って大切なんだな。とか、工芸家という仕事もあるんだな。とか、そういう印象が残ればいいなと思って話しました。

 

予想よりちゃんと話を聞いてくれて、質問もたくさんあったし良かった。みんな漆を臭がっていたので、漆=くさい、という印象を与えてしまったかも・・・と心配ですが(私は漆の匂いは好き)。

最後に「将来、こういう仕事をしてみたいと思った人」と美術館の学芸員の方が聞くと、何人か挙手してくれて、嬉しかったです。

 

 

(2008.11.4)

 

 

 

 

 

9月からバルセロナへ

 

2007年9月1日〜約1年間、ポーラ美術振興財団の助成により、スペインのバルセロナにて在外研修を行う事になりました。研修のテーマは「西欧における現代の漆芸の手法を体得し、日本の漆芸技法と組合わせる事で、新たな表現方法を探究し、制作、発表する。また、各地で所蔵される歴史的に重要な漆器及び擬似漆器の調査、研究を行う」です。Escola Massanaという美術学校に漆のコースがあり、そちらに招待してもらっているので、制作の環境は整うと思います。たくさんの方々にご協力いただいて、実現出来る事になったので、精一杯励み、充実した内容にしたいと思っています。

 

4月から本格的な準備に入り、制作に集中出来ない日々が続いています。今は書類の準備ばかりですが、それが一段落すると、スペインに持っていく乾漆を作る予定です。スペインで木地を調達するのは困難なようで、現地の漆アーティストは金属や陶器に加飾している方も多いようです。私も制作のメインを加飾にしたいので、下地工程まで終わらせた乾漆素地を持参したいと思っています。今は楽しみな気持ちより、出発までに準備が整うか不安です。向こう1年は幾つかの展覧会を休む事になりそうです。

(2007.5.18)

 

 

 

 

広島市立大学01

 

広島市立大学 芸術学部 デザイン工芸学科の中に「漆造形」があります。

私はそこでたまにアシスタントをしているのですが、今月の火から金はデザイン工芸学科の1年生40人に蒔絵の体験授業をしています。

各自パネル制作なのですが、全工程スタッフがチェックしないと、失敗作になってしまうので、私達は慌しいです。

研ぎ出し蒔絵、平蒔絵、それらを組合わせたものなど、それぞれの図案で技法を選んで各自進めました。銀粉を使いました。

 

デザイン工芸学科は2年生から視覚造形、メディア造形、立体造形、現代表現、金属造形、漆造形、染色造形のどれかを選択して、専門的な授業に入るようです。漆、金工、染色の工芸は1学年1から3人位?メディアや視覚造形などが人気のようです。

美術学科には日本画、油絵、彫刻のコースがあるので、純粋芸術家を志す学生はそちらへ。デザイン工芸学科の学生は一般の就職希望者が多いようです。

 

一番下の写真は漆造形の工房。

火から金の午後が実習です。

色々と設備も充実しているので、後日また詳しい様子をアップしたいと思います。ここ広島市立大学では概ねつなぎの作業着を着るのが標準。午前中に学科授業をヒラヒラ衣装で受けても、つなぎを着れば安心作業。

1年生40人

平蒔絵のチーム

漆造形の工房

 (2006.11.15)

 

 

色漆

 

色漆を作りました。

透明な漆に粉末の顔料/染料/鉱物などを混ぜ、2から3時間練ります。大変なので、よく使う色は練ってあるものを買います。

 

色練りをしていると、縄文時代の遺跡から発掘された朱漆の縦櫛を思い出します。

色漆を作るには、まず透明な漆を作らなければなりません。木から採取されたままの漆(生漆)を丸一日かくはんし、水分を飛ばし、粒子を細かくしていくと透明な漆になっていきます。

その漆に顔料を入れて、何時間か練ったら朱漆が出来ます。

 

漆塗りの櫛は、多くの時間とすぐれた技術を使って作られており、すばらしい漆の文化が縄文時代にあったことを物語っています。

色練中は暇なので、いつも縄文時代の事を考えています。

 

色練り

 

顔料

 練り済みの色漆 

(2006.10.21)

 

 

漆濾し

 

漆を濾しました。量が少ないものは手で濾しますが、300g以上は濾し器を使っています。

ゆっくり濾さないと濾し紙が破れてしまうので、

20〜30分位かけてゆっくり濾します。

 

右は黒呂色漆と呼ばれるもので、一般的な黒色の漆です。透明な漆に水酸化鉄を混ぜて着色反応させます。これが漆独特の黒色で、塗って時間が経つと色が透けてきます。例えば、木に直接塗り、時間が経つと下の木目が透けて見えるのです。

下地が透けるのを防ぐ為、「カーボンを混ぜた透けない黒色漆」を塗り、その上に透ける黒呂色漆を数回塗り重ねます。

黒呂色漆の表面は他の黒色塗料では決して表せない深みと瑞々しい透明感があります。それが「漆黒」の魅力です。 

黒呂色漆 濾し

 

(2006.8.8)

 

 

  

  

漆 植樹

 

広島市立大学の漆造形の学生達と漆の木を植えに戸河内まで行ってきました。

4月から市立大学にアシスタント(TA)で行くので、記念すべき第1回漆植樹に私も同行しました。

 

植樹自体は難しいものではありません。

ただ、より効率良く漆を採取しようとすると、土地選びや、枝打ちなど、その後の手入れも必要となります。水はけの良い斜面は重要な条件のひとつです。

 

植樹して、漆が採れるまで、6、7年かかるといわれています。6月中旬から10月末にかけて、1本の木から年間約200ccしか採れません。

 

これからも、広島に漆の植樹をしてゆく予定のようです。

同じ苗木でも、植える土地によって、漆の特性が異なってくるので、今回の苗木がどのような木に成長していくのか楽しみです。

広島県産の漆の研究と採取が、今後の課題となります。

 

(2006.3.24)

 

 

漆かぶれ

 

香川県漆芸研究所に入り、初めて漆に触れて、約2週間後に一気に漆かぶれが始まりました。

私は平均的なかぶれ具合でしたが、肘から指先まで2倍位に腫れグーにもパーにも出来ない位でした。指の皺や掻いた箇所から血や粘性汁が滲み出て、痒さと痛みで1週間位は夜も眠れないくらいでした。

私達の頃は先生方が「漆かぶれに効く薬はない」と言っていたので、病院に行く人はあまりいませんでしたが、最近は皮膚科でもらった薬で炎症を抑える人が多いみたいです。

元通りになったのが何ヵ月後かはあまり覚えていませんが、心身共にかなりのダメージを受けました。

周りの人達にも気持ち悪がられました。