漆ウルシノキに傷をつけたとき,そこからにじみ出てくる樹液を採取したものです。

うるし液が採取できる木は、日本、中国、インドシナ半島など東南アジア地域に広く分布しています。


原産地によって、漆の主成分である、水分、ウルシオール/ラッコール/チチオール、含窒素物、ゴム質などの含有量が異なります。

漆掻きは、およそ6月中旬から10月末まで行います。時期によって,採取されたうるし液の呼び名やその品質も異っています。

 

漆は水分の蒸発による乾燥ではなく、ラッカーゼという酵素の働きで、適度な湿度(65-80%)と温度条件(20-30℃)のもとで乾燥します。

 

通常乾燥には1-2日要し、芯まで乾燥するにはおよそ半年かかると言われています。

 

また、器など漆で塗装されたものは

耐久性、抗菌性に優れている事が最近の研究で明らかになりました。

備中にて 漆掻き体験 1999年 夏

 

 

 

 

漆かぶれ

 

漆の主成分であるウルシオールがかぶれを引き起こします。

かぶれは未固化(液体で乾燥する前)のウルシオールと皮膚のたんぱく質とが反応するためです。

完全に乾燥した漆はかぶれる心配はありません。

(環境にもよりますが、少なくとも塗ってから100日程度は内部まで乾きません)
乾燥しているかは外観からでは判断できません。

かぶれた所は腫れ、非常にカユクなります。掻かずに完治すれば跡が残ることはありません。

かぶれがひどいようなら、皮膚科の医師に診てもらいましょう。

かぶれの強さはかなり個人差があります。体質的に弱い方はご注意下さい。

(アレルギー体質の人はかぶれ易い)
疲労が溜まったり体力の低下している時もかぶれ易いようです。

 

 

 

漆器の手入れ

 

洗い方

 

水、ぬるま湯にて中性洗剤で洗い、柔らかい布で乾拭きし、乾燥後片付けます。

瀬戸物と重ねると、ひび割れの原因になる事があります。

長時間水に漬けて置くことを避けてください。

 

普段、気軽に使いたいものは、電子レンジと食器洗浄機を避ける以外はあまり意識しなくても良いかと思われます。

美術品になると、温度湿度を一定に保ち、紫外線を極端に避けます。

その漆器をどれくらい大切に取り扱うかで、手入れの仕方も変わってくると思います。

用途に合わせて、管理されると良いと思います。

 

新品のもの

 

漆は、塗装後、約半年かけてゆっくり硬化していきます。出来上がった物をすぐに使うより、しばらく置いておいた方がキズや変色も起こりにくくなるます。

また、塗り上がりから時間があまり経っていないものは匂いを強く感じる事があります。

その場合も考慮に入れ、購入されたものは、箱に納めず、食器棚など直射日光を避けた場所にしばらく置いておかれるのが良いかと思われます。