HOME ブログ

アートフェア東京後記【後編】

前回の【前編】に続き、今回はパネル作品、彫漆の小型オブジェ、そして器たちについてご紹介します。
アートフェア東京2026 香川県漆芸研究所ブース内の菅野かおりの展示スペース


01. 時代を超えて残したい「普遍的な風景」
彫漆額「うたかたのうた」菅野かおり作。上半分は丸い貝を配置した螺鈿、下半分は彫漆で波のような文様を表現しています。

彫漆額「うたかたのうた」

重厚な「堆朱(ついしゅ)」の技法に、繊細な螺鈿を組み合わせました。伝統を重んじつつも、今の私が感じる現代的な意匠へ昇華させる試みです。
蒟醤漆額「凪」菅野かおり作。瀬戸内海の穏やかな海を表現しました。ボカロPのなきそ様がお迎え下さいました。

蒟醤漆額「凪」

蒟醤漆額「とばり」菅野かおり作。古代の静かな夜を表現しました。

蒟醤漆額「とばり」

蒟醤漆額「錦の峰」菅野かおり作。色づく山々が連なる様子を表現しました。

蒟醤漆額「錦の峰」

瀬戸内海の穏やかな海を描いた「凪」、古代の静かな夜を表現した「とばり」、そして色づく山々が連なる「錦の峰」。 どれも、時代が変わっても色褪せることのない「普遍的な美しさ」を漆の中に閉じ込めました。

嬉しいことに、「凪」はボカロPとして活躍されているなきそ様がお迎えくださいました。
会場では、なきそ様がその作品の前で足を止め、じっくりと向き合ってくださる様子をお見かけしました。数多くのアート作品が並ぶ中で、私の静かな表現が、鋭い感性を持つ方のアンテナに正しく届いたのだと感じられたことは、今の私にとって大きな自信に繋がりました。
後日、写真を送ってくださり、ご自宅の壁面やライティングに美しく調和している様子を拝見し、心から安堵し、制作の苦労も吹き飛びました。

02. 手の中に収まる彫漆オブジェ
アートフェア東京2026、彫漆の小型オブジェ4点。菅野かおり作。

彫漆造形、左から「朝顔」「寒香」「春霞」「さざなみ」
4.5 x 4.5 x 4 cm

小さな造形の中に漆の層を凝縮しました。これらは、ペーパーウェイトとしてもお使いいただけるよう、内部に鉛を入れて加重しています。手に取った時の心地よい重みも、作品の一部として大切にしている要素です。

03. 木地から仕立てた器
お椀とコップは私自身のデザインを、信頼する木地師の方に一つひとつ挽いていただいた特注の器たちです。 表面は螺鈿や蒔絵で装飾を施したものから、布を貼り、その布目の表情を活かした塗りのものまで、漆ならではの多様な質感を目指しています。 今回の写真は細部が見えにくいですが、今後オープンするオンラインストアでは、一点ずつの表情がしっかり伝わるアップの写真なども詳しく紹介していく予定です。
アートフェア東京2026、菅野かおりの展示スペース。器たち。

日月蒔絵椀 菅野かおり作。ハリセンボンの箕輪はるか様がお迎え下さいました。

日月蒔絵椀

こちらのお椀は、ハリセンボンの箕輪はるか様がペアでお迎えくださいました。プライベートの箕輪様は本当にお洒落で素敵で、そんな感性豊かな方に選んでいただけたことが、とても嬉しかったです。

また、陶芸家の星正幸様には、奥様へのプレゼントとしてイヤリングをお選びいただきました。
今回の展示では、お迎えくださった方の半数以上が、繊細な表現活動をされている方々、あるいは多くの作品を審美眼で選別してこられたギャラリストの方々でした。
鋭い視点を持つ皆様に、私の作品を「手元に置きたい」と感じていただけたことは、復帰したばかりの私にとって大きな自信となり、これからの制作を支える強い励みになります。

04. 今後の活動
新しいプロジェクトも動き出しています。ある企業のデザイナーの方にお声がけいただき、現在「彫漆アイテムのプロジェクト」が始動しています。
また、今後の展示スケジュールも決まってまいりました。
2027年1月14日〜24日: 南青山・アートスペースモルゲンロート(漆 3人展)
2027年3月22日〜31日: 日本橋・ギャラリー壺中居(漆 3人展)
2027年4月21日〜5月17日: 新宿高島屋(美術画廊前ショーケースにて展示販売)

5月にオープン予定のオンラインストアでは、アクセサリーや器など、日常で使いやすいものを準備しておりますので、楽しみにお待ちいただければ幸いです。

2026.04.27