作業工程

 

 

その他

 

 

下地 プラ板

 

下地作業の終盤です。

今日は身の合口(蓋が合わさる部分)に、ペースト状の下地(砥の粉錆)をつけました。

広い面は、ヘラで下地をつけて、乾燥した後、砥石で均一に研ぎつけますが、合口の様に狭い面は、プラ板が有効です。その場合、ほとんど研がなくても、正確で均一な面が仕上がります。(師匠より伝授)

合口は重要な箇所で、ここが均一の高さになっていないと、蓋をかぶせた時にピッタリ合わず、蓋と身の間にわずかな隙間を作ってしまいます。

底面はガラス板の広い面を使って、すり合わせて必ず平らにします。

 

 ↑砥の粉錆

 (キメの最も細かい土に、水と漆を混ぜたもの)

 

 ←他の器物 プラ板使用例

下地の段階で少しでも凹凸があると、漆を塗り、艶が出た後、その凹凸はかなり目立ちます。

何度か漆を塗った後に、凹凸に気付いて研ぎ直すと、部分的に下地が出てしまい、また初めから塗り直す事になります。

「下地作業は10年やって一人前」と言われていただけあって、本当に難しいです。

(2006.3.21)

 

 

下塗り研ぎ

 

下地工程の仕上げ研ぎをしました(キング砥石#800使用)。1回黒色の漆を塗ってから、研ぎます。研ぎつけると、凸部分は下地が出てきます。

かなり前につけた下地ですが、厚くつける癖のある箇所があったようです。

 

今回の大きな8角形の重箱は、今までで一番大変でした。

砥石の感触や見た目だけに頼らず、辺の長さを測ったり、あらゆる角度から、均一の厚みになっているか調べます。

 

ここで器物の精密な形が決まってしまうので、この研ぎが全工程の中で一番重要かもしません。

各部分に合わせた砥石も用意しなければなりません。いつも違う形の器物を扱う為、手間がかかります。

ここで妥協すると作品全体の品位が下がるらしいので、表面の加飾以上に気を使う必要があります。

平凡な形でも、下地工程が完璧な技術で仕上げられたものは、黒色の塗りだけで大変魅力的な作品になります。

 

 

(2006.9.10)

 

   

蒟醤→彫漆

 

昨日から彫漆を彫り始めました。

まず、蒟醤の地文様を仕込んでおいて、その上に白と黒など25回位塗り重ねました。

真っ黒な塗面に文様の下絵を描いて、第一刀を入れます。

一番深く彫り下げる層の手前に目印として黒漆を塗っておきました。その黒漆を目指して慎重に彫り下げていきます。1回分の漆の層は約0.03mmなので、彫りにくい部分はかなり手前の層で止めておいて、砥石で研ぎながら、目的の層まで下げていきます。

 

彫り進めるほどに、イメージしていたものが、形になっていきます。この作業があまりにも楽しくて、今日は他の仕事を全て放棄して、一日中彫っていました。

この後は研ぎ、磨きの作業になります。

それはあまり好きな作業ではありません。

ちなみ写真の作品は水指(みずさし−茶道具)で、モチーフは山帰来です。

(2006.2.2)

彫り途中

部分拡大

 

 

 

 蓋の取っ手

 

制作中の水指(みずさし−茶道具)「山帰来」もほとんど仕上がってきました。

黒漆を100回以上塗り重ねた層を、水指の蓋の取っ手に加工しました。

形を整えて、指になじむよう中心部を削りました。

輪郭などの曲線は、水指を上から見た時の形に合わせてデザインしました。水指の文様が具象的なので、取っ手はシンプルにする事にしました。

中心部をくり抜く事も出来ます。

 

蓋に接着する際、金工用の細いドリルを埋め込み、より強固に接着します。

取っ手 磨き途中 

(2006.2.12)

 

 

 

貝桶蒔絵01

 

オーダーメイドの貝桶(貝合せの貝を入れるもの)に蒔絵をしています。重箱なので、蒔絵までの道のりが大変長かった。(1年以上)

まず始めに、背景の水紋を研ぎ出し蒔絵しています。水紋の筋を1本ずつ金を蒔きぼかしているので、1日1筋しか進められません。隣の筋の漆が乾いていないと、そこに金粉が付いてしまうので、1筋ずつ乾燥させる必要があるのです。

 

流水紋が済んでから、その上にメインの桜、水仙、紅葉、かきつばたの蒔絵になります。全てお客さんの指定のモチーフなのですが、オーダーメイドはアンティーク風の蒔絵がほとんどです。

アンティーク風の中にも、現代の軽やかな風合いを出せたら良いなと思っています。

研ぎ出し蒔絵

 (2006.11.3)

 

 

 

貝桶蒔絵02

 

2,3年越しで取り組んでいる貝桶にようやく花のモチーフの蒔絵を始められました。右は杜若(かきつばた)の花の部分です。今から茎、葉、細かい描写を蒔絵します。その他のモチーフは大体終わりました。

 

バック全体に粗い金粉を巻きました(平目粉3号)。水紋とバックが研ぎ出し蒔絵で、その後、平蒔絵(丸粉1〜13号)で花を描写しました。一部研ぎ出し蒔絵もありです。

内側は朱の塗り立て(研ぎ&磨き不要)です。

 

(2007.6.22)