塗り重ねが終わると、彫りに入ります。
数ヶ月かけて塗り重ねた層を彫るにあたり、失敗は許されません。
彫漆技術は彫刻刀による部分が最も大きいと思います。切れ味が悪い彫刻刀は自在に操れないので、失敗の元です。全ての彫刻刀がきちんと研げると実感できるまで5年かかりました。
面倒なようでも、少しでも切れ味が落ちたら、研ぎ直す方が結果的には早く安全です。ちなみに右の作品を仕上げるのに丸刀は100回以上研ぎました。
彫刻刀の後にいくつか工程があるので、少し残し気味でやめておきます。
しかし、残し過ぎると後の工程で負担になります。
彫刻刀は刃の部分だけを買って、自分で柄をつけます。漆芸研究所の1年生の時に購入し、柄をつけました。よく覚えていませんが、1本5千円位で、彫刻刀としては最高級のものだったと思います。
私は全種類、全サイズを揃えているわけではありませんが、今のところ、彫刻刀に関しては今の道具で満足しています。
市販の彫刻刀でも漆を彫る事は出来ますが、すぐに切れ味が落ちるので、頻繁に研がなければいけません。しかし、初心者の方は市販のもので十分だと思います。
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