2006年 7月→ 9月

前月へ  翌月へ

 

 

石膏作業

 

ここ10日間位、乾漆の型にする石膏を作っています。(去年の様子など詳しい工程はこちら

最初に木枠に石膏を流し込んでから、精密な成形をするのですが、石膏が十分に乾燥していないと、鉋やペーバーに石膏が付き過ぎて、作業になりません。今回は台風などのおかげで、全然石膏が乾かず、倍以上時間がかかっています。

 

1個の箱を作るのに、蓋と身と2つの石膏型が必要です。今は3種類の箱を進めています。

今年は石膏作業が、上達したなと思える時が何度かあったので、石膏部分の薄さを追求したら、色んな所が割れて、継ぎ接ぎだらけ石膏になってしました。箱が終わったら、盛器も一つ作ってみるつもりです。

 

石膏作業は、イメージしたものが形になる、一番最初の工程なので、面倒臭いけど楽しいです。

(2006.9.20)

成形途中

 石膏干し

 

 

 

 

下塗り研ぎ

 

下地工程の仕上げ研ぎをしました。

1回黒色の漆を塗ってから、研ぎます。

研ぎつけると、凸部分は下地が出てきます。

かなり前につけた下地ですが、厚くつける癖のある箇所があったようです。

 

今回の大きな8角形の重箱は、今までで一番大変でした。

砥石の感触や見た目だけに頼らず、辺の長さを測ったり、あらゆる角度から、均一の厚みになっているか調べます。

ここで器物の精密な形が決まってしまうので、この研ぎが全工程の中で一番重要かもしません。

各部分に合わせた砥石も用意しなければなりません。いつも違う形の器物を扱う為、手間がかかります。

ここで妥協すると作品全体の品位が下がるらしいので、表面の加飾以上に気を使う必要があります。

平凡な形でも、下地工程が完璧な技術で仕上げられたものは、黒色の塗りだけで大変魅力的な作品になります。

(2006.9.10)

 

 

 

 

彫漆03 〜研ぎ〜

 

彫り工程が済むと、一番大変な研ぎ工程です。

3種類の砥石で、順に研ぎつけます。

#800・・・三和(写真2番目)

#1200位・・・炭

#2000・・・クリスタル

砥石は写真のように色んな形のものを作って、どんな小さい所でも研ぎつけます。

小さく細いものは、すぐに減ったり折れたりして、砥石を整えるのにも手間がかかります。

研ぎが甘いと、仕上げて艶をつけた時に小さな傷が目立ちます。

研ぎ工程が済むと、研磨剤などで磨いて終了です。

 

彫漆は、塗り重ね、彫り、研ぎ、仕上げと、とにかく手間がかかりますが、他の技法にはない「立体表現」の魅力があります。

もともとは中国が発祥の地で、宋時代から宮廷で特に尊重愛好されていたようです。

 

今、私達が作っているような彫漆は、戦後、顔料が発達してから、日本独自に発展したもので、歴史は浅く、まだ様々な可能性が秘められているように感じます。

 (2006.8.19)

彫漆研ぎ

砥石

完成表面⇒

 

 

 

漆濾し

 

漆を濾しました。量が少ないものは手で濾しますが、300g以上は濾し器を使っています。ゆっくり濾さないと濾し紙が破れてしまうので、20〜30分位かけてゆっくり濾します。

 

右は黒呂色漆と呼ばれるもので、一般的な黒色の漆です。透明な漆に水酸化鉄を混ぜて着色反応させます。これが漆独特の黒色で、塗って時間が経つと色が透けてきます。

 

例えば、木に直接塗り、時間が経つと下の木目が透けて見えるのです。

下地が透けるのを防ぐために、「カーボンを混ぜた透けない黒色漆」を塗った後、その上に透ける黒呂色漆を数回塗り重ねます。黒呂色漆の表面は他の黒色塗料では決して表せない深みと瑞々しい透明感があります。それが「漆黒」の魅力です。

黒呂色漆 濾し

(2006.8.8)

 

 

前月へ  翌月へ