彫漆塗り重ねも終盤に入りました。
上塗りをする前に、器物からはみ出て、ガビガビに乾いた漆を取らなければいけません。
通常の塗りは、塗った時に器物からはみ出た余分な漆をヘラで取ります。しかし、塗りはどうしても端の方が薄くなってしまいます。彫漆のように何10回も塗り重ねているうちに、その差が大きくなって、下の図のように端がダレてしまします。
このように完成してしまうと、作品の印象はしまりがありません。エッジが綺麗に出来ていないと、せっかく文様が上手くても、全体の完成度は低く見られてしまうかもしれません。
これを防ぐ為に、彫漆の場合は敢えて器物からはみ出して、塗り重ねをして、終盤に「ガビ取り」をします。
ガビガビ部分にあたる言葉を先人は命名しなかったようで、今のところ、これを取る作業は「ガビ取り」という名で伝承されています。
上手く写真が撮れなかったのですが、実際にガビガビ部分は、すごいガビガビでボコボコです。他に良い言葉は当てはまらないかもしれません。
「ガビ取り」ような些細な事の一つ一つが、大切な技術の伝承なのかもしれません。
(2006.4.19)
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