2005年まとめ
2005年は私にとって大きな節目でした。
広島に帰って独立し、小さいながらも、望んでいた通りの仕事場を作り、漆の仕事だけに専念出来る環境が整いました。
高松の仕事場と比べると快適さは雲泥の差です。
これで思いっきり作業ができる〜と喜び、全力で頑張ったつもりでしたが、1年を振り返ると、もっともっとたくさん作品を作るつもりだったのに・・・納得のいかない状態です。
2006年は更に制作に専念し、せめて自分自身が納得できる作品を作りたいと思います。 |
岡山県大山 2005年 秋 |
料亭 二蝶 (公式HP http://www.nichonet.co.jp/)
高松に居る間はアルバイトをさせてもらいました。
私の他に同じ大学出身の漆の後輩達が3〜4人居て、展覧会前や帰省シーズンはみんな同時に仕事を休んだり、迷惑をかける事が多かったのですが、女将さんにはすごく良くしてもらいました。他では考えられない位です。二蝶以外では多分アルバイトと制作を両立出来なかったと思います。後輩達は今現在もお世話になっています。
私が受賞した時は女将さんが作品を買い上げて下さいました。
後輩達の作品もその後一つずつ買って下さったと聞いています。
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左から作家の平岩弓枝さん、私、
今西朱子(漆芸家)、阿川佐和子さん |
高橋英樹さんと |
普段なかなか会えないような方達とも直接お話出来る機会も多々あり、本当に楽しく働かせてもらいました。
また、従業員の為に、茶道、書道、英会話のお稽古があり、それも積極的に参加させてもらいました。
二蝶で身につけた事は今後も役に立つ事と思います。 |
それと、女将さんが卓球の元世界チャンピオンでした!
当時は卓球がオリンピックの競技になかったのですが、あれば、間違いなく金メダリスト。
考え方が大変リベラルで「さっすが元世界チャンピオン☆」て何度も言いたくなるくらい、格別かっこいい女将さんでした。
社長、大女将、若女将夫婦にも、かわいがってもらって、二蝶での思い出はどれも楽しく温かいものばかりです。 |
新年会にて 氣志團に扮した後輩達に囲まれて
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香川県漆芸研究所 (公式HP http://www.pref.kagawa.jp/sitsugei/)
入所してすぐに、ヘラ、刷毛、彫刻刀など、道具を作ることから始まりました。この上なく地味で根気がいる作業のように思われました。今なら、簡単に作れるようなものでも、全てに不慣れな当時はやたらと疲れました。かぶれと二重苦。
作業はやり方を習えば、あとは各人の練習次第なので、3年生くらいになると寡黙です。誰とも会話することなく帰宅する日もあるくらいでした。
漆が楽しくなったのは、研究所を卒業し、自由に制作するようになってからです。
漆芸作家養成を目的としたつぶしの利かない機関に入り、3年間の研修期間を経て、漆芸作家としての道を進む人は毎年10人中2〜3人でしょうか?
他の機関と比較した事はありませんが、それでも決して低い割合とは思いません。
年々、女の子の入所が増えるのが目立ちました。
たくさんの著名な先生方に直接指導して頂いて、大変恵まれた環境だったと思います。
高松市の中心部に位置するのは意外でした。
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香川県漆芸研究所 正門付近 |
松本 眞 (まつもと あつし)
先生
【 略 歴 】
1937年 広島市生まれ
1959年 東京芸術大学美術学部(小磯良平ゼミ)卒業
1973年〜74年 西ドイツ(ハンブルグ)留学
1992年〜04年 広島修道大学教授(芸術担当)
【 著書・論文 】
1983年 「古保利薬師堂四天王彫像」
1989年 『広島県の庚申信仰と庚申塔』(広島修道大学叢書51号)
1990年 「近世の石造美術」
2001年 「織部灯籠」 |
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2004年 「古保利の仏像」
松本先生と出会ったのは、大学に入学してすぐの1995年春でした。
一目見た時から、「この先生のような生き方がしたい」と思いました。
松本先生に導かれて、今の仕事に就きました。
今も変わらず、先生は私の憧れの人です。 |
デッサン合宿 広島県阿多田島にて 松本先生と友人 |
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韓国漆紀行 4月の雪が降りました 2001年 春 |
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旅行メンバー;
左から私
キムさん(大学院生)
今西朱子(漆芸家)
楠里織(漆芸家)
松本先生
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北岡 省三 (きたおか しょうぞう)
先生
2001年4月から2004年12月まで師事。
昭和24年 香川県高松市に生まれる
昭和43年 香川県立高松工芸高校(現・漆芸科)を卒業
漆芸家・今雪哲郎先生に師事
昭和44年 上京し、漆芸家・音丸耕堂先生に内弟子として師事
現 在 日本工芸会 理事
日本工芸会 四国支部 幹事長
香川県無形文化財 彫漆技術保持者
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どのような時でも熱意を持って、指導していただきました。
先生のデザインや美的感覚は常に新しく、年月が経っても色褪せないものばかりです。
作品の素晴らしさもさることながら、お人柄の良さや溢れ出るバイタリティーは他の追随を許しません。 |
両親と先生と 2001年
秋 |
漆かぶれ
香川県漆芸研究所に入り、初めて漆に触れて、約2週間後に一気に漆かぶれが始まりました。
私は平均的なかぶれ具合でしたが、肘から指先まで2倍位に腫れグーにもパーにも出来ない位でした。指の皺や掻いた箇所から血や粘性汁が滲み出て、痒さと痛みで1週間位は夜も眠れないくらいでした。
私達の頃は先生方が「漆かぶれに効く薬はない」と言っていたので、病院に行く人はあまりいませんでしたが、最近は皮膚科でもらった薬で炎症を抑える人が多いみたいです。
元通りになったのが何ヵ月後かはあまり覚えていませんが、心身共にかなりのダメージを受けました。
周りの人達にも気持ち悪がられました。 |
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漆を始めた
「どうして、漆を始めたの?」と聞かれる事が多いので、まずは漆を始めたきっかけを書こうと思います。
大学で出会った松本眞先生(画家/当時教授)に油絵を習っているうちに、漆の仕事を勧められました。
次第に興味を持つようになった頃、松本先生に連れられて行ったグループ展で、後に師事する北岡省三先生の作品に出会い、漆の道に入ることを決意しました。
高校生の時は、違う道を目指していましたが、受験に失敗し、大学は全く興味のない分野への進学となってしまいました。
そのまま卒業して就職するという将来はどうしても思い描けなかったので、3年生の1年間を休学し、その後、大学を中退して、香川県漆芸研究所に入所しました。
研究所を卒業した後は、彫漆技術の第一人者の北岡省三先生に4年弱弟子入りし、2005年2月に広島の実家に仕事場を構えました。
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香川県漆芸研究所 1998年 春 |
2005年 広島の自宅
翌月へ
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