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素地の種類Body Materials

漆はあらゆる物を接着・乾固する事ができるので、様々な素材を素地として用いる事ができます。

 木、布(乾漆)、竹(籃胎)、紙(紙胎)、紐(縄胎)、皮革(漆皮)、金属(金胎)、陶磁(陶胎)、プラスチック、ガラスなど。私は乾漆を用いる事が多いですが、一般的に、ほとんどの漆器は木地です。

この記事の目次

木地

 木地には挽物(ひきもの)、指物(さしもの)、曲物(まげもの)、刳物(くりもの)とあります。

挽物 Hikimono

ろくろや旋盤を使い回転させながら加工したもの。お椀、茶托、独楽など。

指物 Sashimono

釘などの接合道具を使わず、木と木を組み合わせて作られたもの。
枘差し(ほぞさし)(凹凸を掘り、はめ込んで構造を作る技)などの技術を用いて、外側に組手を見せず、組み立てる。家具、建具、箱など。

曲物 Magemono

檜・杉などの薄く削り取った材を円形に曲げ、合せ目を樺・桜の皮などで綴じて作った容器。輪っぱ、曲げわっぱとも呼ばれる。桶、弁当箱など。

刳物 Kurimono

ナタやカンナ、ノミを使い、木の塊から形を削り出したもの。形の制約がなく、自由な表現が可能。木目が美しい高価な木材が使用される事もある。盛器、スプーン、皿など。

 香川県漆芸研究所では積層と呼ばれる刳物の一種の技法を習いました。
 これは科ベニヤ板などを貼り重ねた物を彫刻刀で削って、成型します。例えば、丸い箱を作る場合、あらかじめ不要な中心部分をくり抜いた状態の板を重ねて、貼り合わせてから、彫刻刀で成型します。
 科ベニヤ板は反りが少ないという利点があります。しかし、使用する木材によっては、完成後に貼り合わせた断層の線が出て浮き出てこないよう対策が必要かもしれません。


乾漆

 麻布を漆で数枚貼り重ねて乾固させた物を素地とします。
 似たもので、紐を粘土型などに貼り付けて漆で固めた縄胎、紙を漆で固めた紙胎などもあります。
 どんな形でも自由に表現でき、堅牢で湿度温度の変化にも強いという利点があります。量産が難しく、漆を多く使う為、材料費も高くなり、流通量は多くありませんが、漆芸作家の多くはこの技法を取り入れています。
 詳しくは、こちらのページをご覧ください。


籃胎

 竹で編んだ網代を素地とする籃胎技法も香川県漆芸研究所で習いました。軽くて丈夫で、見た目も美しく、素晴らしい技法ではありますが、竹ひごを手作業で用意するのが大変なので、希少なものになりつつあります。

主に3種類の仕上げ方があります。
1.先に竹ひごに漆を塗り、網代を完全に見せるもの。
参考画像 籃胎網代編香合 貝 大谷 早人 (日本工芸会)

2.網代で形を作った後に、下地で少し隙間を埋めた後、透明な漆を塗り重ね、網代が透けて見えるもの。(下の画像)

3.網代で形を作った後に、下地と塗りで完全に覆い、表面を加飾したもの。数か月経つと下地が痩せて、網代の網目が浮き出てきます。
内側が1.外側が3.のものもあります
参考画像 籃胎蒟醤香盒「秋空」 太田 儔 (日本工芸会)

籃胎盛器「紫陽花」
香川県漆芸研究所の実習で制作しました。


その他

 皮革を漆で固めた漆皮、金属に漆を焼付けた金胎、陶器を漆で彩色した陶胎、プラスチックや樹脂に漆を塗った工業製品など、様々な素材に漆を塗る事が出来ます。
 ガラスに漆を塗る時は、接着力を強くする為の「漆芸用強力ガラス下塗り剤」も売られています。


2024.05.02